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接触抵抗とは?

はじめに

電気機器の信頼性を高めるには、接触抵抗の仕組みを正しく理解することが大切です。接触抵抗は、コネクタや端子などの導体同士が触れ合う部分に生じる抵抗で、値が高くなると電流が流れにくくなります。抵抗の増加は発熱や信号品質の低下を招き、最終的には誤作動や損傷につながるため、製造の現場では特に注意が必要です。
当記事では、接触抵抗の基礎知識や原因、発生しやすいトラブル、安定させる方法、端子に施されるめっきの種類などをまとめ、設計や品質管理で役立つポイントを解説します。

接触抵抗とは?

1.接触抵抗とは?

接触抵抗は、接点や端子間など、2つの導体が接触する部分で発生する電気抵抗を指します。電気回路において、抵抗は電流の流れにくさを示す重要な指標であり、接触抵抗が高くなると、電流の流れが妨げられます。接触抵抗が高いと、機器の効率を低下させたり、発熱や不具合を引き起こしたりする原因となります。
接触抵抗はコネクタや端子の品質に直接関わるため、製造業においては設計段階で特に注力すべきポイントです。たとえば、接触抵抗が高いと、コネクタ内部で発熱が起き、最終的に機器が焼損する可能性もあるため、定期的な点検とメンテナンスが求められます。

接触抵抗とは?

1-1.絶縁抵抗との違い

接触抵抗と絶縁抵抗は、どちらも電気抵抗に関わる重要な概念ですが、その意味と用途は異なります。 接触抵抗は、導体同士が接触する部分での「電流の流れにくさ」を示すのに対し、絶縁抵抗は、隣接する端子間で電流が漏れない性能を示します。具体的には、接触抵抗はコネクタや端子間で電流を流すために必要な電気的特性であり、絶縁抵抗は隣り合う端子間で短絡を防ぐために大切なものです。

接触抵抗が高い場合、電流が流れにくくなり、発熱や機器の動作不良を引き起こします。一方、絶縁抵抗が低い場合は、端子間で不正な電流の流れ(短絡)が発生し、機器の性能に大きな影響を及ぼします。

両者は、電気機器やコネクタの設計においては対照的な役割を果たします。接触抵抗は小さいほど良好ですが、絶縁抵抗は高いほど良好とされています。このため、設計者は両者を適切にバランスさせる必要があります。

2.接触抵抗が高くなる主な原因

接触抵抗が高くなると、電気機器の性能に影響を与え、最悪の場合は発熱や機器の損傷を引き起こします。接触抵抗の増加にはいくつかの主な原因があり、特に接触面積の低下、接圧の低下、表面の酸化膜や汚れが影響を与えることが多いです。ここでは、接触抵抗が高くなる要因について詳しく解説します。

接触抵抗とは?

2-1.接触面積の低下

接触面積が大きいと電流は流れやすくなり、抵抗が小さくなります。一方で接触面積が狭くなると電流が通りにくくなり、接触抵抗が高くなります。

たとえば、電池ボックスの端子に使用される渦巻状のバネと板バネを比較すると、板バネのほうが接触面積が広く、結果的に接触抵抗が小さくなります。このため、設計時には接触面積を確保することが重要です。

接触面積の低下は、電流の流れを妨げ、発熱や電力の無駄を引き起こす原因となるため、接点の形状や設計を工夫する必要があります。

2-2.接圧の低下

接圧の低下も接触抵抗の増加を引き起こします。 接圧とは、導体同士が接触する部分にかかる圧力のことで、接圧が十分でないと接触面が十分に密着せず、抵抗が増加します。

たとえば、コネクタの端子が緩んでいる場合や、バネの圧力が弱い場合、接触抵抗は増加します。接触圧を高めることで接触面がしっかりと接触し、抵抗を低く保てます。このため、コネクタ設計や端子の選定において、適切な接圧を確保することが必要です。

2-3.表面の酸化膜や汚れ

接触部分の酸化や汚れも接触抵抗の増加を引き起こす大きな原因です。金属の接点や端子は、空気中の酸素と反応して酸化膜を形成することがあります。この 酸化膜が接触面に存在すると、電流の流れが妨げられ、接触抵抗が高くなります。

特に、銅や真鍮などの金属は酸化されやすく、酸化膜が厚くなるとサビが発生し、抵抗が増加します。さらに、表面に汚れが付着すると、電流が流れる経路が不安定になり、接触抵抗が増加します。接触部分は定期的に清掃し、酸化を防ぐために適切なめっき処理を施すことが大切です。

3.接触抵抗がもたらすトラブル例

接触抵抗が高くなると、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。まず、 接触抵抗が増加すると電流の流れが妨げられ、信号の伝送に遅延や変動が生じます。これにより、通信機器や制御機器の性能が低下し、正確なデータ伝送ができなくなることがあります。
さらに、接触抵抗が高いと電気回路の断線や誤作動を引き起こすことがあります。特に、高い接触抵抗は発熱を伴い、その熱が原因で接続部分が損傷して回路が断線したり、機器が誤作動を起こしたりすることがあります。最悪の場合、接触抵抗が原因で機器全体が故障することもあります。このようなトラブルを防ぐためにも、接触抵抗の管理と定期的なメンテナンスが大切です。

接触抵抗とは?

4.接触抵抗を安定させる方法

接触抵抗が安定していないと、電気信号が正確に伝送されず、機器の動作不良や発熱などのトラブルを引き起こすことになります。そのため、コネクタメーカーは接触抵抗を安定させるために、設計段階でさまざまな工夫をしています。ここでは、接触抵抗を安定させるための方法について、詳しく解説します。

・接触圧力を高める

接触圧力を高めることは、接触抵抗を安定させるための基本的な方法の1つです。端子接点部は金属でできているため、時間の経過とともに酸化被膜が形成され、電気信号の伝送を妨げることがあります。接触圧力を高めることで、酸化被膜を突き破り、接点がしっかりと密着するようになります。
密着が強化されると電流の流れがスムーズになり、接触抵抗が低下します。特に、高い接触圧力を持つコネクタは、耐久性が向上し、接触抵抗の変動が少なくなります。

・接点部にめっき加工を施す

接点部にめっき加工を施すことも、接触抵抗を安定させるために有効な対策です。金属は酸化しやすいため、接点部が酸化すると抵抗値が増加し、接触不良を引き起こします。これを防ぐために、ニッケル、銀、金などのめっき材を使用することが一般的です。
適切なめっき材を選定することで、接触部の酸化や摩耗を防ぎ、長期間にわたり安定した接触抵抗を保つことができます。

5.コネクタの端子に付けるめっきの種類

コネクタの端子は、電気的な接続部位として使用されるため、酸化や腐食に対する耐性を持たせるために、さまざまな種類のめっきが施されます。

たとえば、コネクタの端子には通常、耐摩耗性が高く、耐食性も良好なニッケルめっき(Ni)が下地として使われます。その上に、最も一般的な仕上げとして金めっき(Au)が施されます。金は非常に優れた導電性を持ち、酸化しにくいため、接触抵抗を安定させ、長期間にわたり信号伝送を確保できます。

金めっきの代わりにすず系めっき(Sn)や、金めっき(Au)とすず系めっき(Sn)を両方施すこともあります。すず系めっき(Sn)は、コスト面で優れており、主に低価格のコネクタで使用されます。金めっき(Au)+すず系めっき(Sn)の組み合わせは、金めっきの導電性に加え、すず系めっきによる錆びにくさと耐腐食性の向上につながるので、はんだ付け部分や高温環境で使用される場合に有効です。

まとめ

接触抵抗は、電気機器の性能と安全性を支える基礎的な要素であり、数値が上昇すると電流が流れにくくなって発熱や誤作動のリスクが高まります。接触面積や接圧の不足、酸化膜の形成など、抵抗が増える要因は複数あるため、設計段階から安定性を意識した対策が求められます。

特に、耐食性を向上させるめっき処理や、接触圧を確保する構造の工夫は効果的です。また、定期的なメンテナンスによって抵抗値の変動を早期に察知することで、機器の不具合を防ぎやすくなります。

接触抵抗と絶縁抵抗の違いを理解し、それぞれの役割に応じた管理を行うことは、製品の品質と長期的な信頼性を維持するための基本です。安定した電気接続を実現するには、原因の把握と対策を必ず行いましょう。

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