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純金鍍金(めっき)とは?
はじめに
金鍍金(めっき)は、電子部品や精密機器の品質を左右する処理方法です。しかし、純金めっきと硬質金めっきの違いが分からず、どちらを採用すべきか判断に迷う方は少なくありません。純金めっきは外観性・導電性に優れる一方で、耐久性やコスト面の不安を抱えることもあるでしょう。
当記事では、純金めっきの仕組み、電気めっきを中心とした製造方法、硬質金めっきとの違い、純金めっきのメリット・デメリット、注意点を体系的に解説します。
1.純金鍍金(めっき)とは?
純金鍍金(めっき)とは、 金以外の素材の表面に純度99.9%以上の24金を極めて薄くコーティングする加工を指します。純金は不純物をほとんど含まないため、色や化学的な安定性に優れている点が特徴です。一方、鍍金とは金属やプラスチックなどの表面に金属膜を付ける表面処理の総称です。
1-1.純金めっきの用途
純金めっきは、装飾用途と工業用途のどちらにも広く利用される表面処理です。装飾分野では、銅や真鍮などの素材に純金をコーティングすることで、金製品のような華やかな外観を再現できます。アクセサリーや雑貨など、デザイン性を重視した製品に多く採用されています。
一方、 工業分野では、純金が持つ高い電気伝導性やはんだ付けのしやすさが評価され、電子部品や半導体、スマートフォン内部の接点などに用いられています。
1-2.硬質金めっきとの違い
純金めっきと硬質金めっきの大きな違いは、硬さと耐摩耗性の有無です。純金めっきは金純度が99.9%以上と高く、化学的安定性に優れる一方で軟らかく傷つきやすい特性があります。
それに対して 硬質金めっきは、純金にコバルトやニッケルなどを微量に共析させることで皮膜硬度を高め、摩耗や擦れが起きやすい部位にも適用できる加工です。そのため、各種コネクタやスイッチ、電気接点など、耐久性が求められる部品に広く利用されています。
1-3.純金とめっきの見分け方
純金製品と金めっきを判別する際は、次の3点を確認すると見分けられます。
■刻印を確認する
純金製品には「K24」「999」など純度を示す刻印が入ります。一方で「24KGP」「K18GP」の「GP(Gold Plated)」は金めっきであり、純金製ではありません。
■重さを調べる
金は密度が高く小さくても重みがあります。より正確に判断したい場合は、水に沈めて体積を求める比重測定により、算出した比重が金の基準値と一致すれば純金の可能性が高まります。
■色味を確認する
純金は深みのある濃い黄金色が特徴です。一方、金めっきは表面のみが金のため色が薄く、光沢が強く見えることもあります。
2.純金めっきの仕組みと製造方法
純金めっきは多くの場合、電気めっき法によって形成されます。これは、めっき液中に電極を入れて電流を流すことで、金属イオンが還元されて素材表面に純金が析出する仕組みです。電気エネルギーを利用して膜を生成するため、電流密度や処理時間で膜厚を細かく制御できます。
めっき技術は大きく湿式めっきと乾式めっきの2種類に分かれます。湿式めっきは水溶液を用いて金属イオンを付着させる方法で、電気めっきはこの湿式に分類されます。一方、真空中で金属を蒸着させるPVDなどは乾式めっきに該当し、ガラスやプラスチックにも加工できる点が特徴です。
3.純金めっきの特徴とメリット
純金めっきは、純度99.9%以上の金を利用することで、見た目の美しさだけでなく、機能面でも優れた性能を付与できる表面処理です。ここからは、純金めっきが持つ主な特徴とメリットを解説します。
①見た目の美しさ
純金めっきの大きな魅力は、深みのある黄金色が長期間変色せず保たれる点です。純金は化学的に非常に安定しており、空気中の酸素や湿気に触れても酸化しないため、表面がくすんだり黒ずんだりする心配がほとんどありません。
さらに、めっき膜によって素材の色ムラを覆い、均一な仕上がりにすることも可能です。ジュエリーや宝石、装飾部品など、デザイン性が求められる商品でも安定した外観を実現できます。
②耐食性の高さ
純金めっきは 極めて高い耐食性を持ち、湿気・汗・化学物質などの影響を受けにくい点が特徴です。金は酸やアルカリに対しても安定しており、他の金属のように酸化皮膜やサビが発生しません。
これにより、電子端子や接点部品のように長期的な信頼性が求められる場面で効果を発揮します。古代の青銅器や寺院仏像に施された金めっきが現在も輝きを残していることから、純金の耐久性の高さがうかがえます。
③熱伝導性に優れる
純金めっきは 電気伝導性だけでなく熱伝導性にも優れているため、電子部品や半導体の接合材料として広く採用されています。金の熱伝導率は銀や銅に次いで高く、熱が効率的に伝わるため、高温環境での使用にも適しています。
また、シリコンとの共晶による接合が可能で、熱を利用する製造プロセスでも安定した接合品質が得られます。コネクタやセンサー電極、半導体パッケージ、光学部品など、熱制御や信頼性が重要視される用途において有効です。
④はんだ付け性の良さ
純金めっきは はんだの濡れ性に優れ、安定した接合品質が得られる点がメリットです。金は表面に酸化皮膜を作らないため、ニッケルや銅のように酸化被膜越しに接合するリスクがありません。
さらに、金ははんだと相性が良く、金スズはんだでも濡れ性が良好で均一に広がりやすく、長期的な接続信頼性の確保に役立ちます。そのため、電子基板のランドやコネクタ端子、ワイヤボンディング部など、多くの重要箇所に使用されています。
⑤金属アレルギーのリスクを低減できる
純金めっきは、 金属アレルギーの原因となりやすい金属が肌に触れないよう表面を保護できるため、特にアクセサリーや装飾部品で重宝されています。金は、皮膚と反応してイオン化しにくい性質を持つため、アレルギー反応を起こしにくい金属の1つです。
強度確保のために合金される硬質金めっきは、ニッケルなどの添加物が含まれる場合があり、アレルギー対策としては向きません。肌に触れる製品の安全性を高めたい場合に、純金めっきは有効な選択肢となります。
4.純金めっきの注意点
純金めっきは外観性や導電性に優れる一方、硬度が低く傷つきやすいことや、めっき厚や金相場の影響を受けてコストが高くなりやすい点に注意が必要です。ここでは、純金めっきの主なデメリットを解説します。
1.硬質金めっきよりも耐久性が低い
純金めっきは高い導電性やボンディング性を持つ一方、硬質金めっきと比べると耐久性は劣ります。これは、 純度99.9%以上の金は非常に軟らかく、摩耗や傷が起こりやすいためです。衝撃やこすれが繰り返される環境では、表面が削れたり、めっき膜が膨れたりはがれたりするリスクが高まります。
また、素材との界面に介在物がある場合やめっき工程で電流が中断された場合は、密着不良が生じて耐久性が低下することがあります。そのため、長期間の摩耗が想定される部品には、より硬度の高い硬質金めっきの採用が適しています。
2.硬質金めっきよりもコストがかかる
純金めっきは 金純度が高いため、一般的に硬質金めっきよりも材料コストが大きくなりやすい加工です。めっき膜が厚くなるほど使用する金の量が増えることから、厚めっきを選ぶ場合は費用が上昇します。また、金の価格は日々変動するため、同じ仕様でも相場によって総額が変わる点も理解しておきましょう。
三ツ矢では、硬質金めっきと純金めっき(軟質金めっき)の材料費に差を設けておらず、用途や目的に応じた最適な仕様提案が可能です。コスト面も含めて相談しやすい体制を整えておりますので、安心してご依頼ください。
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まとめ
純金鍍金(めっき)は、24金の美しい外観と高い耐食性を素材に付与できる表面処理であり、電子部品から装飾品まで幅広い分野で活用されています。電気めっきを中心とした加工により、薄い膜でありながら導電性や熱伝導性、はんだ付け性を安定して確保できる点が魅力です。
一方で、硬質金めっきと比べると摩耗に弱く、膜厚や金相場によってコストが変動するため、用途に応じた仕様選定が欠かせません。金めっきによる最適な仕上がりを得たい方は、三ツ矢までお気軽にお問い合わせください。




