めっきのひろば > ワイヤボンディングとは?

ワイヤボンディングとは?

はじめに

半導体パッケージの業務に携わる中で、「ワイヤボンディングとは何か」「どのような原理で接合しているのか」という点が気になる方もいるでしょう。工程が自動化されていても、その仕組みを理解していなければ、設計判断やトラブルの原因分析ができません。
当記事では、ワイヤボンディングの基本原理、ボールボンディングとウェッジボンディングの違い、使われるボンディングワイヤの特性、接続性を支えるめっき技術について分かりやすく解説します。

ワイヤボンディングとは?

1.ワイヤボンディングとは

ワイヤボンディング(ワイヤーボンディング)とは、 ICチップの電極とパッケージ側の電極を細い金属線で接続する半導体実装の基本技術です。半導体は外部と電気的にやり取りするため、チップのアルミパッドとリードフレームや基板を導通させる必要があります。
この接続に使われるのが、圧力・熱・超音波振動を組み合わせて金属同士を接合するワイヤボンディングです。高速かつ低コストで多様なパッケージに対応できるため、現在の半導体製造で広く用いられている接続プロセスです。

ワイヤボンディングとは?

1-1.ワイヤボンディングの基本原理

ワイヤボンディングの基本原理は、 ワイヤ(ワイヤー)と電極のごく薄い界面に金属間化合物を形成し、強固な電気的・機械的接続を作ることにあります。アルミパッドは表面に酸化膜が存在し、この酸化膜が残ったままでは金属間化合物が生成されません。
そこで、ワイヤを押し付けつつ150~200℃程度に加熱し、さらに超音波振動を加えることで、アルミパッド表面の酸化膜を破壊します。酸化膜の下に現れた無垢な金属面では、高温・高圧の作用で金ワイヤ側が塑性流動を起こし、アルミ電極との界面に金属間化合物が形成されます。この仕組みにより、外力や振動に対しても安定した接合が得られ、半導体パッケージに必要な高信頼性の電極接続が実現します。

1-2.ワイヤボンディングの種類

ワイヤボンディングは、接合方式によって「ボールボンディング」と「ウェッジボンディング」の2種類に大別されます。

■ボールボンディング
ボールボンディングは、 金や銅などのワイヤ先端を放電で溶融させ、ボール状に形成してから電極へ接続する方法です。圧力・熱・超音波振動を組み合わせることで短時間で接合でき、1秒間に20本以上の配線も可能なため、LSIやCPUなどの大量配線が必要な集積回路に広く利用されています。接合面積が大きく、信頼性が高い点も特徴です。

■ウェッジボンディング
ウェッジボンディングは ボールを作らず、くさび型のツールでアルミワイヤを直接押し付けて接合する方式です。アルミは酸化膜が強く放電でボール形成できないため、この方法が適しています。処理速度は比較的遅いものの、パワートランジスタやIGBTなどのパワーデバイスで多く採用されています。

2.ボンディングワイヤとは

ボンディングワイヤ(ボンディングワイヤー)とは、半導体チップの電極とパッケージ側の電極を電気的に接続するための極細の金属線です。ワイヤボンディング工程で用いられ、IC内部の信号や電力を外部へ伝える役割を担います。素材には金・銀・銅・アルミニウムが使用され、用途に応じて特性が異なります。

ワイヤボンディングとは?

2-1.金ボンディングワイヤ

金ボンディングワイヤ(Auワイヤー)は、ワイヤボンディングで長く使用されてきた代表的な材料で、電子機器など高い信頼性を必要とするデバイスで現在も広く採用されています。 最大の特徴は、優れた耐腐食性と導電性を持ち、酸化による劣化が起こりにくい点です。

これにより安定した接合品質を維持しやすく、細線化やファインピッチ化が進む先端パッケージにも対応できます。また、金は加工性に優れており、ボールボンディングでの扱いやすさも大きな利点です。

2-2.銀ボンディングワイヤ

銀ボンディングワイヤは、金に代わる低コスト材料として近年注目され、用途が拡大しているワイヤです。 銀は金属の中でも高い導電性を持ち、低抵抗が求められる場合に適しています。
従来の銀ワイヤは電気特性や信頼性に課題がありましたが、最新の製品ではそれらを改善した高性能ワイヤが登場しています。たとえば、三次元メモリデバイスなど、高度な半導体にも使用される例が増えています。

2-3.銅ボンディングワイヤ

銅ボンディングワイヤは、金ワイヤよりも大幅にコストを抑えられることから、現在多くのパッケージで採用が進んでいる材料です。 銅線は電気伝導性・熱伝導性ともに優れており、高電流や高放熱が求められるデバイスに適しています。
ただし、銅は酸化しやすいため、そのままでは接合性やワイヤ寿命に課題が残ります。したがって、パラジウムコーティング銅ワイヤ(PCCワイヤ)のような保護層付き材料が一般的に使用されます。

2-4.アルミボンディングワイヤ

アルミボンディングワイヤは、主にウェッジボンディングで使用される材料で、パワー半導体やパワーモジュールで広く採用されています。 アルミは軽量でコスト効率が高く、大電流向けデバイスに適した特性を持っています。
また、アルミは表面に強固な酸化膜を形成するため、放電でのボール形成ができず、専用ツールで押し付けて接合する方式が基本です。近年の製品では、従来よりも広いプロセスウィンドウで使用できる改良型ワイヤもあり、安定した接続が求められる電子部品やパワーデバイスで重要な材料です。

3.ワイヤボンディングの工程

ワイヤボンディングでは、ボールボンディング方式が広く用いられています。ここでは、その代表的な製造工程を順を追って解説します。

【1】
キャピラリと呼ばれる細いツールに通した金線の先端を放電し、溶融させて球状のボールを作ります。このボールが後のファーストボンドとなり、電極との接合品質を左右します。

【2】
形成したボールをキャピラリで保持したままICチップのパッドへ押し付け、圧力・熱・超音波エネルギーを加えて接合します。位置決めは装置により自動制御され、数μm単位の精度で行われます。

【3】
ファーストボンド後、キャピラリを持ち上げて移動させ、ワイヤにアーチ状の形状(ループ)を付けます。ループの高さや形状は、隣接ワイヤとの干渉や樹脂封止時のストレスを考慮して最適化されます。

【4】
キャピラリを接続先の電極へ移動させ、ワイヤを押し付けて再度エネルギーを加え、接合します。ファーストボンドとは条件が異なる場合があり、接合強度を確保するために精密な制御が求められます。

【5】
接合部のワイヤを引き上げて切断し、1本の接続を完了します。切断面の状態は次のボール形成の品質に影響するため、この工程も自動装置により厳密に管理されています。

4.ワイヤボンディング向けのめっきの種類

ワイヤボンディングでは、電極表面に適切なめっきを施すことで、導電性や密着性を高め、安定した接合を実現します。ワイヤと電極は圧力・熱・超音波を組み合わせて接続されますが、素材によっては表面が硬かったり酸化しやすかったりするため、そのままでは十分な接合強度が得られません。そこで、ワイヤ素材に合わせた表面処理が重要になります。

三ツ矢では、ワイヤボンディング用途に特化しためっきを提供しております。アルミワイヤ向けには密着性を高めるニッケルめっき、金ワイヤ向けには軟質で接合性に優れた無光沢金めっき、銀ワイヤ向けには導電性を損なわずに接続性を高める無光沢銀めっきが利用できます。ワイヤボンディングのめっき処理は、三ツ矢にお任せください。
ワイヤボンディングのめっき

ワイヤボンディングとは?

まとめ

ワイヤボンディングは、半導体チップとパッケージ電極を確実につなぐための中心的な実装技術です。接合は圧力・熱・超音波を組み合わせて金属間化合物を形成することで成立し、ボールボンディングとウェッジボンディングという2つの方式が使い分けられています。
また、金・銀・銅・アルミなどのワイヤータイプによって特性が異なるため、製品要求に応じた選定が重要です。ワイヤとの密着性や接続性を高めるためには適切なめっき処理も必要となりますので、めっきについてお悩みの場合は三ツ矢まで一度お問い合わせください。

めっきのひろばトップに戻る
page top